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増刊号 秋号

目次

 

特集記事

もったいない! 食品ロス
-食育がつなぐ暮らしと環境-

東京農業大学 教授 上岡 美保

【著者紹介】上岡美保(かみおか みほ)東京農業大学 国際食料情報学部 国際食農科学課 教授。同大「食と農」の博物館 副館長。食料・農業・農村政策審議会委員。食育推進会議専門委員(農林水産省)。専門は農業経済学、食料経済学。著書「食生活と食育」等、多数。NHK・民法各局の教養・情報番組等に多数出演。

1 ご存知ですか?食品ロス

 世界には栄養不足人口(飢餓に苦しむ人)は約8億人いるといわれています。飢餓の国が存在する一方で、 飽食の国々では、多くの食料が無駄に廃棄されています。FAO(国連食糧農業機関)によると、世界の年間の食料廃棄量は、世界の食料生産量の三分の一に相当する13億tと推計され、特に先進国では消費段階での廃棄量が多くなっています。

 近年、わが国の食品廃棄も大きな問題となっています。環境省によると年間に排出される可食部とされる食品ロスは643万トン(2016年度)で、WFP(世界食料計画)の年間の食料援助量320万トン(2015年)の約2倍に相当します。

 この年間の食品ロス643万トンのうち、食品製造業・関連流通業・外食産業などの事業系の排出量は352万トン、私たちの家庭系からのそれは291万トン(2016年度)となっています。さらに、家庭系の食品ロスに注目すると、その排出要因は、「食べ残し」38.6%、「過剰除去」30.9%、「直接廃棄」30.5%となっています。こうした食品ロスの大部分が生鮮食品(野菜類、果実類等)であることから、食や農に対する意識の薄れや、調理技術の未習得が大きな要因になっているといえます。

2 SDGsと食品ロスの削減

 以上のような状況の中で、2015年には国連総会においてSDGs(Sustainable Development  Goals)を核とする「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました(2017年度秋号に掲載)。

 SDGsでは、例えば、(1)貧困をなくそう、(2)飢餓をゼロに、(3)すべての人に健康と福祉を、(12)つくる責任つかう責任、(14)海の豊かさを守ろう、(15)陸の豊かさも守ろうなど、主として17の目標が掲げられていると同時に、(12)つくる責任つかう責任の中では、2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品の損失を減少させる、といった目標も掲げられています。

 これらの目標の一つ一つをよくみてみると、全ての項目において、実は私たちの食生活と深い関りを持っていることが理解できるでしょう。

3 食品ロス削減推進法が公布されました

 前述したように、わが国の食品ロスは2016年度で643万tですが、遡ってみると、2015年度で646万トン、2014年度で621万トン、2013年度で632万トン、2012年度で642万トンとなっており、決して減少傾向にあるわけではありません。

 また、世界でSDGsを目指す機運が高まっていることも相まって、わが国では2019年5月31日に「食品ロスの削減の推進 に関する法律(食品ロス削減推進法)」が公布されました。その大枠は、関連する全ての主体が国民運動として食品ロスの削減に取り組むこととし、眼前の食品ロスをなくすこと、食品関連企業等で余剰となった食品をフードバンク等に寄付することに対し、国・地方公共団体が支援すること等が盛り込まれています。

4 食品ロス削減には消費者の行動がカギ

 事業系の場合は、食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)の下、食品廃棄物の減量と再生利用が義務づけられています。また賞味期限切れ間近の食品もある程度まとまった量が発生するため、フードバンク等に効率的に寄付することが可能だと考えられます。実際、近年フードバンクに寄付する企業数及びその寄付量も大幅に増加傾向にあります。

 家庭系の場合、近年、フードドライブ(家庭からの余剰の食品を集めてフードバンクに寄付すること)などの活動が各地で増えてきています。しかし、まだまだフードドライブについて認知度が高いとはいえません。さらに、家庭での余剰の食品は、少量多品目であること、フードドライブが寄付したい時にいつでも開催されているわけではないことを加味すれば、個人がフードバンクに寄付できる機会は、現状ではまだ限られています。

 したがって、食品ロスを削減していくためには、食品ロスの約半数を占める家庭からの排出量をできるだけ抑制する必要があり、その意味では、国民一人一人の意識と行動の改善が求められるといえます。

5 食育・食農教育は食品ロス削減の大きな手段

 そもそも「食べ残し」「過剰除去」「直接廃棄」による大量の食品ロスはどうして発生するのでしょうか。 それは、日本の経済発展の過程で国民が大量生産・大量消費に慣れると共に、生活スタイル、食生活、家族形態などの変化の中で、より簡便で安価なものへとニーズが移っていったことで、調理技術の修得や伝承が困難になったり、「食と農の距離の乖離(かいり)」(消費者と生産者の距離が離れること)によって、国民の食や農に対する意識の薄れに少なからずつながったりしていると考えられます。

 農林水産省では、昨年から『「食育」ってどんないいことがあるの?ーエビデンス(根拠)に基づいてわかったことー』というパンフレットを作成し、食育をすることで期待される効果を国民にわかりやすく伝えています。その中で、農林漁業体験は食べ残しなどの食行動と大きな関わりがあるとしており、食育や食農教育による国民の農林漁業への理解が食品ロス削減に寄与するとされています。食農教育は決して難しいことではありません。例えば、収穫体験やグリーンツーリズムを通して農業や自然に触れることや、直売所やマルシェの利用で生産者と会話をする、地産地消をするといったことだけでも農業を身近に感じることができます。また、食や農の体験を通して、異世代間や地域での人と人とのつながりも大切にしていきたいですね。

 今、私たちに求められていることは、世界の課題についてグローバルに捉えながら、足元から行動することなのではないでしょうか。

 

一口メモ
【SDGs(持続可能な開発目標)】
 2015年に国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ(行動計画)に記載された2030年までの17の(国際)目標など。(外務省)

【食品ロスの削減の推進に関する法律】
 まだ食べられる食品が大量に廃棄されていることから、SDGsの目標12で規定。これを受けた同法は公布後6か月いないに施行。(消費者庁)

 

消費生活情報

令和元年度 消費者教育講演会

《共催:都筑区役所、後援:資源循環局、他》
消費者とプラスチック製品
-求められる暮らしでの取り組み-
講師 一般社団法人JEAN 事務局長 小島 あずさ
グリーン購入ネットワーク 代表理事 戸川 孝則
日時 令和2年1月16日(木曜)13時30分から15時30分(13時15分開場)
会場 都筑公会堂 第一会議室(都筑区総合庁舎内)
交通 市営地下鉄「センター南」駅下車 徒歩約6分
参加費 無料
定員 60名
対象 横浜市在住・在勤・在学のかた
申込方法 事前の申込不要。当日、先着順
問合せ 電話:845-5640 FAX:845-7720

 

地域情報

瀬谷区

 瀬谷区消費生活推進員は、楽しみながら学べる講座、寸劇・紙芝居、高齢者の見守りや声かけなどを通して、高齢者をはじめとした皆さんが悪質商法などの被害にあわないように活動し、地域の皆さんの安全でより良い消費生 活をサポートしています。また、地球温暖化対策の講座や洗剤がいらないアクリルたわしなどを手作りして、環境 に配慮した消費生活の啓発活動に取り組んでいます。

高齢者被害未然防止の講座

  • 地域で行われる高齢者の食事会、サロン、敬老会などの行事に出向いて「出前講座」を開催し、悪質商法の被害や手口を紹介して、被害防止を呼びかけています。
  • 区民向けの講演会として、タイムリーな話題をテーマとした「消費生活室」を横浜市消費生活総合センターと共催で行っています。

 

イベントなどでの啓発活動

  • 地域のお祭りや運動会などで、高齢者の見守りや消費者被害防止についての啓発活動をしています
  • 瀬谷区最大のイベント「瀬谷フェスティバル」で、活動紹介と啓発を行っています。
  • 相鉄線瀬谷駅、三ツ境駅で、高齢者が悪質商法の被害に遭わないように呼びかけを行いました。

 

環境にやさしいエコな生活を紹介

  • 消費生活推進員が講師となって、地球温暖化の現状や環境負荷を低減した循環型社会などについてお伝えしています。
  • 「アクリルたわし」などを手作りして、環境に配慮した消費生活の啓発に取り組んでいます。

 

施設見学会

  • 消費生活に関する知識と情報を得るため、資源のリサイクルや食の安全に関する施設等を見学しています。

 

パワフル瀬谷 生活情報展

  • 2年ごとに、各地区の啓発活動の取り組みや活動で得た知識・情報をパネル展示などで発信しています。
  • 地球にやさしい手作り品の工作・実演や作成方法を紹介しています。

 

 

消費生活教室のお知らせ等

教室・講演会のページはこちら

【問合せ先】 「消費生活教室」担当 電話:845-5640 FAX:845-7720

《金沢区役所共催》
不当・架空請求トラブルにあわないために
-ハガキやメール等に潜む狡猾な手口とは-
講師 神奈川県弁護士会(消費者問題対策委員)
弁護士 加藤 武夫
日時 令和元年11月21日(木曜)13時30分から15時30分(13時開場)
会場 金沢区役所 5階 会議室(金沢区泥亀2−9−1)
交通 京浜急行線「金沢文庫」「金沢八景」駅下車 徒歩約12分
シーサイドライン「金沢八景」駅下車 徒歩約12分
参加費 無料
定員 80名 (当日、先着順)

 

《港北区役所共催》
不当・架空請求トラブルにあわないために
-ハガキやメール等に潜む狡猾な手口とは-
講師 東京経済大学 現代法学部教授
弁護士 村 千鶴子
日時 令和元年11月25日(月曜)13時30分から15時30分(13時開場)
会場 港北公会堂 ホール(港北区役所隣・港北区大豆戸町26-1)
交通 東急東横線「大倉山」駅下車 徒歩約7分
バス停「港北区総合庁舎前」下車 徒歩約3分
参加費 無料
定員 300名 (当日、先着順)

 

《港南区役所共催》
もったいない! 食品ロス
-ムリ・ムダをなくした食生活と食育-
講師 東京農業大学 国際食料情報学部
教授 上岡 美保
日時 令和元年12月17日(金曜)13時30分から15時30分(13時開場)
会場 港南区役所 6階 603会議室(港南区港南4-2-10)
交通 市営地下鉄「港南中央」駅下車 徒歩約2分
参加費 無料
定員 80名 (当日、先着順)

 

《保土ヶ谷区役所共催》
輸入食品の安全性と注意点
-生鮮・加工食品等のチェックポイント-
講師 消費者問題研究所
代表 垣田 達哉
日時 令和2年1月22日(水曜)13時30分から15時30分(13時開場)
会場 保土ヶ谷公会堂 1号会議室(保土ヶ谷区星川1-2-1)
交通 相鉄線「星川」駅北口下車 徒歩4分
バス停「峯小学校前」「星川駅前」「保土ヶ谷車庫前」下車 徒歩約4分
参加費 無料
定員 100名 (当日、先着順)

 

《神奈川区役所共催》
加速するキャッシュレス決済の行方
-通貨はどこに? 知っておきたい仕組みと注意点-
講師 山本国際コンサルタンツ
代表 山本 正行
日時 令和2年1月28日(火曜)13時30分から15時30分(13時開場)
会場 神奈川区役所 本館5階 大会議室(神奈川区広台太田町3-8)
交通 東急東横線「反町」駅下車 徒歩約7分
京浜急行線「仲木戸」駅下車 徒歩約9分
JR京浜東北線・横浜線「東神奈川」駅下車 徒歩約7分
参加費 無料
定員 80名 (当日、先着順)

 

計量イベントを実施します!
-はかって つくって くらし発見-

日時 令和元年11月4日(月曜・祝)9時30分から16時
会場 よこはま動物園ズーラシア
内容 クイズラリー、ガチャガチャ等
参加費 イベント参加費は無料
問合せ先 840-2020
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