相談データ・分析

令和3年度 消費生活相談の傾向

2022年07月04日

 令和3年度の消費生活相談の特徴としては、「トイレ修理」「鍵の修理・交換」など、日常生活での緊急事態に事業者が自宅に訪問して対処する「暮らしのレスキューサービス」に関する相談が増加傾向にありました。緊急事態で、焦っている消費者の状況につけこんだ被害です。

 「暮らしのレスキューサービス」、「偽サイトに関する相談」及び「成年年齢前後の相談」の特徴をまとめましたので、お知らせします。

 暮らしのレスキュー

“暮らしのレスキューサービス”の相談が増加

 「トイレが詰まった」「鍵が開かない」など緊急事態の際、インターネット上の「950円~」など安い価格が表示された広告を見て依頼したところ、実際の料金は数十万円になるなど、当初見ていた広告の金額とはかけ離れた請求になってしまったという相談が多く寄せられました。

 「トイレ修理」「鍵の修理・交換」「害虫・害獣の駆除」等、暮らしのレスキューサービストラブルは、昨年度に比べて増加率が40~70%になっています。(別紙事例1参照)

  1. 相談件数
    トイレ修理の相談件数 令和2年度 50件 令和3年度 81件 増加率62.0% 鍵の修理・交換の相談件数 令和2年度 36件 令和3年度 61件 増加率69.4% 害虫・害獣駆除の相談件数 令和2年度 23件 令和3年度 33件 増加率43.5%


     令和3年度の相談案件にかかる、契約金額の総合計金額及び契約1件あたりの平均金額※は、「トイレ修理」が約1,278万円(平均金額 約16万円)、鍵の修理・交換』が約505万円(平均金額約8万6千円)、『害虫・害獣の駆除』が約1,107万円(平均金額 約38万2千円)となりました。

     ※金額不明の案件は除く


  2. 契約金額及び平均金額

  トイレ修理 契約金額合計 令和2年度 約874万1千円 令和3年度 約1278万1千円・平均金額 令和2年度 約17万8千円 令和3年度 約16万円 鍵の修理・交換 契約金額合計 令和2年度 約151万6千円 令和3年度 約504万8千円・平均金額 令和2年度 約4万7千円 令和3年度 約8万6千円 害虫・害獣の駆除 契約金額合計 令和2年度 約736万4千円 令和3年度 約1107万・平均金額 令和2年度 約33万5千円 令和3年度 約38万2千円

 

 偽サイトでの被害相談に注意

 「注文したサイトが偽サイトだったようだ」といった相談が294件寄せられました。商品別分類では『紳士・婦人用バッグ』が63件(21.4%)で1位となり、SNSの広告から偽サイトに誘導され購入に至るケースが増えました。(事例2参照)

 また、契約金額では1万円以上5万円未満が143件(48.6%)と全体の半数を占めています。

  1. 商品別分類件数(上位5品目)

    「偽サイト」の商品別分類件数 1位 紳士・婦人バッグ 63件 2位 商品一般 17件 3位 腕時計 15件 4位 財布類 13件 5位 上着 9件 偽サイト
    ※商品一般・・・商品の特定ができない相談や、身に覚えのない架空請求等に関するもの


  2. 偽サイトの契約金額

偽サイトの契約金額 1千円未満4件 1千円以上1万円未満90件 1万円以上5万円未満143件 5万円以上10万円未満20件 10万円以上3件 無回答34件

 

成年年齢前後の方からの相談の特徴

 成年年齢引き下げ前は、19歳以下は『インターネットゲーム』や『他の化粧品』・『健康食品』の定期購入に関する通信販売トラブルが多く、20歳代は『不動産貸借』『エステサービス』など、実際に書面を取り交わす契約に関連する相談が多くなっています。(資料編 表4参照)

 成年になると、親権者の同意なく契約を締結できるようになるため、契約に係るトラブルに巻き込まれる危険性が高まります。これまで、20歳の方からの相談件数は19歳の方からの約2倍となっていることから、令和4年4月1日に成年年齢が18歳になることで今後は18・19歳からのセンターへの相談の増加が懸念されます。(事例3参照)

 成年年齢前後の方からの相談件数

令和2年度 18歳68件 19歳111件 20歳218件 21歳218件 令和3年度 18歳57件 19歳85件 20歳175件 21歳157件 成年年齢

 

 事例1 暮らしのレスキューサービス関連のトラブル

 4日前にトイレが詰まり、ネット広告に「基本料金500円から」と書かれていた事業者に電話すると、「出張費は無料で簡易作業は8,000円から」と言われ来訪を依頼した。1時間後、事業者が来訪して簡易作業を行ったが詰まりは解消せず、「便器を脱着して作業する。追加で2万円かかる」と言われた。やむを得ず同意したが、詰まりは解消しなかった。その後も強引に新たな作業を承諾させられ、合計30万円請求された。現金を持ち合わせていないと伝えると、「後日に振り込みとなると手数料として2万円かかる」としてATMでお金を引き出すよう勧められ、現金で支払ってしまった。ネット広告の金額よりもかなり高額となり、契約書にクーリング・オフの記載があるが、全額返金してもらえるか。(60歳代 男性)

センターからのアドバイス

 トイレの詰まり解消など“暮らしのレスキューサービス”に関して、本事例のようにネットの広告とかけ離れた高額な請求を受けるケースが多く見られます。
 相談者が事業者にお願いしたのは、広告の金額で直せると思ったからで、作業中に強引に勧められた高額な作業は不意打ち性が高い訪問販売取引となり、クーリング・オフ※1による契約解除が可能と考えられますが、クーリング・オフを認めない事業者も少なくありません。
 ネット広告の金額表示をうのみにせず、また、日ごろから実際にトラブルが起こった時を想定し初期対応について調べておきましょう。

※1 クーリング・オフ…訪問販売や電話勧誘販売など不意打ち性のある勧誘で契約した際に、冷静に考え直す時間を与え、一定の期間内であれば無条件で申し込みの撤回や契約の解除ができる制度

 

事例2 偽サイト関連のトラブル

 昨日、SNSに大手百貨店がブランド品のバッグを激安で販売している旨の広告が掲載されていた。販売サイトを見ると、バッグの代金は2万円で支払いは代引きに限定されていた。注文後すぐに事業者から注文完了メールが届き、本日、「住所の間違いはないですか」と確認メールが届いた。昨日のメールアドレスと違うのでサイトを確認したところ、アクセスできないため、当該百貨店のホームページを確認したら「当社をかたる詐欺サイトに注意してください」と注意喚起されていた。どう対処したらよいか。(40 歳代 女性)

センターからのアドバイス

 実在する大手百貨店をかたり、ブランド品を格安で販売すると広告し、偽物や粗悪品を代引きで送り商品代金を搾取する手口の消費者トラブルに関する相談が多数寄せられています。
 百貨店のロゴマークや名称が掲載されていても偽サイトの可能性があります。通常の価格帯から大幅に値引きされている場合には、情報の真偽に注意が必要です。
 百貨店をかたる偽サイトに注文してしまい代引きの商品が届いてしまったら、宅配事業者に事情を説明して受け取り拒否をし、販売業者にキャンセルを伝えましょう。

  

事例3 成年年齢の引き下げ関連のトラブル

 1か月前、お試し500円のネット広告を見て除毛クリームを申し込んだ。その際、申し込み画面で自分の生年月日を入力したが、親権者の確認を求める項目はなく注文に進むことができたので、両親に購入について相談していない。商品が届き、代金をコンビニ後払い決済で支払った。昨日、2回目の商品と6,000円の請求書が届き、最低4回までの定期購入に申し込んでいたとわかった。合計で2万4,500円になるため高額で払えない。解約したい。(18 歳 男性)

センターからのアドバイス

 「お試しのつもりで申し込んだら定期購入だった」といった相談が若年層からも多く寄せられています。ネット通販は通常、クーリング・オフの対象にはならず、解約や返品は規約に従うことになりますが、今回の事業者は、未成年者(当時)が契約をしているにも関わらず、法定代理人の承諾を確認していませんでした。この場合、未成年者取消が可能だと考えられます。
 令和4年4月1日からは成年年齢が引き下げられ、18・19歳は未成年者ではなくなりました。契約は慎重に行いましょう。

 

消費生活相談概要(資料編)

令和3(2021)年度(令和3年4月1日~令和4年3月31日)

利用上の注意
 各表における区分毎の各割合(%)の数値は、小数点第2位で四捨五入しています。このため、区分毎の割合の合計は100%にならない場合があります。

 

相談受付件数 (表1) 

区分令和3年度 令和2年度 増減(対前年度増減率)
苦情相談 13,852件(95.3%) 14,938件(94.8%) -1,086件(-7.3%)
問合せ 687件(4.7%) 826件(5.2%) -139件(-16.8%)
14,539件(100.0%) 15,764件(100.0%) -1,225件(-7.8%)
       
電話の自動音声応答※ 763件(57.1%) 310件(29.4%) 453件(146.1%)
メール相談 574件(42.9%) 745件(70.6%) -171件(-23.0%)
1,337件(100.0%) 1,055件(100.0%) 282件(26.7%)
       
合計 15,876件( - ) 16,819件( - ) -943件(-5.6%)
 ※電話の自動音声応答・・・IVR電話システムの受付項目「注文した覚えのない商品の対処法」「事業者・家族相隣・労働」に関する相談で、ガイダンスに納得したため電話相談までには至らず解決したとみなしたもの。

 

契約者性別等件数(表2)

区分令和3年度 令和2年度 増減(対前年度増減率)
女性 7,442件(51.2%) 8,100件(51.4%) -658件(-8.1%)
男性 6,232件(42.9%) 6,763件(42.9%) -531件(-7.9%)
団体 471件(3.2%) 430件(2.7%) 41件(9.5%)
不明 394件(2.7%) 471件(3.0%) -77件(-16.3%)
14,539件(100.0%) 15,764件(100.0%) -1,225件(-7.8%)

 

相談の上位10品目  商品・役務別件数(表3)

順位商品・役務名令和3年度令和2年度増減(対前年度増減率)
1 商品一般 896件(6.2%) 1,131件(7.2%) -235件(-20.8%)
2 不動産貸借 802件(5.5%) 744件(4.7%) 58件(7.8%)
3 工事・建築 759件(5.2%) 664件(4.2%) 95件(14.3%)
4 役務その他サービス 466件(3.2%) 455件(2.9%) 11件(2.4%)
5 健康食品 372件(2.6%) 963件(6.1%) -591件(-61.4%)
6 修理サービス 347件(2.4%) 285件(1.8%) 62件(21.8%)
7 携帯電話サービス 337件(2.3%) 368件(2.3%) -31件(-8.4%)
8 インターネット接続回線 316件(2.2%) 396件(2.5%) -80件(-20.2%)
9 基礎化粧品 246件(1.7%) 264件(1.7%) -18件(-6.8%)
10 電気 237件(1.6%) 167件(1.1%) 70件(41.9%)
その他 9,761件(67.1%) 10,327件(65.5%) -566件(-5.5%)
14,539件(100.0%) 15,764件(100.0%) -1,225件(-7.8%)


年代別上位5品目  商品・役務別件数(表4)

順位12345
未成年者 インターネットゲーム
71件
他の化粧品
36件
健康食品
21件
商品一般
18件
アダルト情報
16件
20歳代 不動産貸借
159件
エステサービス
97件
他の娯楽等情報配信サービス
69件
電気
59件
異性交際関連サービス
53件
30歳代 不動産貸借
190件
商品一般
54件
工事・建築
54件
修理サービス
51件
インターネット接続回線
39件
40歳代 不動産貸借
138件
商品一般
108件
工事・建築
79件
健康食品
69件
修理サービス
48件
50歳代 商品一般
115件
不動産貸借
104件
工事・建築
96件
健康食品
77件
携帯電話サービス
63件
60歳代 商品一般
133件
工事・建築
115件
役務その他サービス
73件
携帯電話サービス
57件
不動産貸借
50件
70歳代 商品一般
177件
工事・建築
159件
役務その他サービス
95件
携帯電話サービス
78件
アダルト情報
61件
80歳以上 工事・建築
175件
商品一般
84件
修理サービス
62件
役務その他サービス
61件
新聞
52件
 ※令和3年4月から分類・キーワードが改訂され「デジタルコンテンツ」が廃止となったため、これまで「デジタルコンテンツ」に含まれていた「アダルト情報サイト(現:アダルト情報)」「オンラインゲーム(現:インターネットゲーム)」等の集計を変更しています。
国民生活センターの商品・役務別分類
商品一般・・・商品の特定が出来ない相談や、身に覚えのない架空請求等に関するもの
役務その他サービス・・・サービス業のうち「金融・保険」「運輸・通信」「教育」「教養・娯楽」「保健・福祉」「外食・食事宅配」「冠婚葬祭」「家事」などのサービスに該当しない役務に関するもの
基礎化粧品・・・「化粧水」「乳液」「化粧クリーム」「パック」等に関するもの
他の化粧品・・・「化粧石鹸」「歯みがき粉」「マニキュア」「脱毛剤」等に関するもの
他の娯楽等情報配信サービス・・・副業関連の情報商材等コンテンツ配信サービスに関するもの
【お問合せ先】
経済局消費経済課長       永峯 浩子
横浜市消費生活総合センター長  魚本 一司

 

詳しくはPDFでご覧ください

バックナンバーを見る

ページトップへ