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相談データ・分析
令和6年度 消費生活相談の傾向
80歳代以上の相談が急増 50歳代以上は「不審な電話・メール」、40歳代以下は「不動産貸借」
横浜市では、市民の皆様の安心・安全な消費生活の実現のため、横浜市消費生活総合センターにおいて商品・サービスに関する契約トラブル等についてのご相談をお受けし、その解決のサポートを行っています。 令和6年度に寄せられた消費生活相談の特徴としては、全体に件数が増加し、特に80歳以上の相談が前年度比27.7%増加するなど、高齢層の相談が増加しています。また、分電盤をはじめ点検商法のトラブルが増加しています。
<全体概況>
- 相談件数と契約金額の推移(前年度比1,634件増、10.9%)
- 年代別件数と対前年増加率
1 60歳以上の点検商法のトラブルが増加 (事例1参照)
点検商法の相談件数は令和4年度から毎年増加しています(図(1))。最も件数が多いのは給湯器ですが、令和6年度は「分電盤を点検します。」と言って突然来訪した事業者に、「古くなり危険なのですぐに交換した方がよい。」などと不安をあおられ工事を契約したが解約したい、という相談が前年度より20倍増加(令和5年度:6件→令和6年度:121件)しました(図(2))。契約当事者の年代では60歳代以上の相談が全体の8割以上を占めており、高齢層が狙われています(図(3))。
- 点検商法の相談件数(図1)
- 令和6年度 点検商法の内訳(図2)
内訳 件数 平均契約金額 給湯器 143件 39万円 分電盤工事 121件 18万円 屋根工事 89件 168万円 その他 516件 81万円 計 869件 76万円 - 令和6年度 点検商法の年代別件数と割合(図3)
2 18~49歳は「不動産貸借」が1位 (別紙事例2参照)
18~49歳の相談件数の1位が、「不動産貸借」に関する相談です。年間相談件数844 件のうち、18~49歳の合計は492件(全体の58%)でした。
どの年代も「退去時に高いクリーニング費用を請求された。」、「原状回復費として壁紙の交換費用を求められた。」などの「退去費用」に関する相談が多くなっています。また「修理/設備」は、入居中の設備の修理や共用部の不具合に関する相談です。「更新/家賃」には、「次の更新はしないので退去してほしいと言われた。」、「正当な理由が無いのに、急に家賃を上げると言われた。」などの相談があります。
不動産貸借の年代別相談件数・内訳
- 内見時に、入居までに部屋の残置物の処分や掃除を済ませるという条件で契約したが、入居日になってもクリーニングされていなかった。
- 部屋の鍵を交換する約束で入居したが、高額のため交換できないと言われた。
- 契約書には付帯設備と記載されたエアコンが故障した。修理を依頼すると、前住人の残置物なので、自分で修理するようにと言われた。
3 50歳代以上は「不審な電話やメール」が上位に (別紙事例3・4参照)
商品・役務別で50~70歳代の第1位となる「商品一般」の相談内容は多岐に渡りますが、代表的な相談としては「不審な電話」、「不審な請求」、「不審なメール(フィッシングメール等)」、「不審な荷物」が挙げられます。
商品一般の主な内容
- 実在する企業や団体名をかたって個人情報を求めるメールやSMSが届いた。
- 芸能人をかたって「お金を受け取ってほしい」というメールが届いた。
- 大手通販会社から、注文した覚えのない荷物が届いた。
事例1 無料の分電盤点検
「分電盤の無料点検に伺いたい。」と業者から突然電話があり、契約している電力会社だと思い、来訪を承諾した。点検後に「分電盤が古く劣化しているので交換した方がよい。」と言われて、交換の契約をした。工事はこれからだが、名乗った社名が契約している電力会社と違うので不審に思い、電力会社に問い合わせると別の業者であることが分かったため解約したい。(50歳代 女性)
センターからのアドバイス
- 4年に1回義務付けられている法定点検だと思って点検に応じてしまうケースが見られます。法定点検の日時は書面でお知らせがあります。
- 突然、電話をしてきたり訪問してきた業者には、安易に点検させないようにしましょう。
- 無資格者が工事を行った場合、設備の不具合や故障、火災などの恐れがあるので注意しましょう。
- 不審に思った時点で訪問、点検や工事は中止し、もし工事をしてしまったとしてもその場で現金を支払わず、センターへご相談ください。
- 特定商取引法上の訪問販売に該当する場合は、契約書面を受け取った日から8日以内であればクーリング・オフ※できます。
※クーリング・オフ:訪問販売や電話勧誘販売など不意打ち性のある勧誘で契約した際に、冷静に考え直す時間を与え、一定の期間内であれば無条件で申込の撤回や契約の解除ができる制度
事例2 賃貸住宅のトラブル
賃貸住宅を退去後、管理会社から原状回復費としてハウスクリーニング費を請求された。契約書に「借主がクリーニング代を負担する」という特約があるが、金額は明記されておらず支払いたくない。(40歳代 男性)
センターからのアドバイス
- 賃貸住宅で退去時のトラブルを防ぐには、契約時からの対策が重要です。
- 契約前に契約書をよく読み、内容をしっかり理解しましょう。
- 入居時に住宅の状況を確認し、写真を撮るなど記録しておきましょう。
- 国土交通省が「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を定めていますので、賃貸物件の退去時に請求された費用に納得がいかない場合には、交渉の参考にしましょう。
事例3 不審な請求
銀行口座に毎月同額の覚えのないカードの引き落としがある。カードはだいぶ前に破棄し、番号も不明だ。カード会社に電話をかけたが、音声ガイダンスが流れるだけでオペレーターにつながらない。(80歳代 男性)
センターからのアドバイス
- 尋ねる目的が不明な場合は、名前や住所を伝えないようにしましょう。
- できれば電話は留守番電話にしておき、発信者番号も表示されるようにしておくとよいでしょう。相手が確かな場合のみ応答することをお勧めします。
事例4 不審な請求
銀行口座に毎月同額の覚えのないカードの引き落としがある。カードはだいぶ前に破棄し、番号も不明だ。カード会社に電話をかけたが音声ガイダンスが流れるだけでオペレーターにつながらない。(契約当事者80歳代 男性)
センターからのアドバイス
- カードの利用明細は毎月きちんと確認しましょう。
- カードを解約しても、それ以前に契約した支払いは継続していますので、ご注意ください。
- 実在する会社や機関を装って、個人情報をはじめとするクレジットカード情報を入力させ、盗み取る手口が増えています。自分が過去に持っていたカード会社などの場合は、メールに記載されているリンクにはアクセスせず、公式のホームページやアプリからアクセスしましょう。
- フィッシングサイトに情報を入力してしまったら、すぐにパスワードを変更したり、クレジットカード会社や金融機関などに連絡するなどの対策を取りましょう。
消費生活相談概要(資料編)
令和6(2024)年度(令和6年4月1日~令和7年3月31日)
注意:各表における区分ごとの割合(%)は、小数点第2位で四捨五入しており、合計は100%にならない場合があります。
(表1)相談受付件数
区分 | 令和6年度 | 令和5年度 | 増減(対前年度増減率) |
---|---|---|---|
苦情相談 | 15,880件(95.4%) | 14,351件(95.6%) | 1,529件(10.7%) |
問合せ | 758件(4.6%) | 653件(4.4%) | 105件(16.1%) |
計 | 16,638件(100.0%) | 15,004件(100.0%) | 1,634件(10.9%) |
(表2)契約当事者年代別件数
区分 | 令和6年度 | 令和5年度 | 増減 | 増減率 |
---|---|---|---|---|
17歳以下 | 192件 | 190件 | 2件 | 1.1% |
18~29歳 | 1,883件 | 1,832件 | 51件 | 2.8% |
30歳代 | 1,617件 | 1,457件 | 160件 | 11.0% |
40歳代 | 1,804件 | 1,769件 | 35件 | 2.0% |
50歳代 | 2,691件 | 2,572件 | 119件 | 4.6% |
60歳代 | 2,272件 | 2,034件 | 238件 | 11.7% |
70歳代 | 2,322件 | 2,017件 | 305件 | 15.1% |
80歳以上 | 2,116件 | 1,657件 | 459件 | 27.7% |
不明 | 1,741件 | 1,476件 | 265件 | 18.0% |
合計 | 16,638件 | 15,004件 | 1,634件 | 10.9% |
(表3)販売購入形態別件数
区分 | 令和6年度 | 令和5年度 | 増減 | 増減率 |
---|---|---|---|---|
通信販売 | 5,758件 | 5,328件 | 430件 | 8.1% |
店舗購入 | 3,075件 | 2,991件 | 84件 | 2.8% |
訪問販売 | 2,574件 | 2,238件 | 336件 | 15.0% |
電話勧誘販売 | 743件 | 685件 | 58件 | 8.5% |
訪問購入 | 121件 | 169件 | -48件 | -28.4% |
その他無店舗 | 92件 | 76件 | 16件 | 21.1% |
ネガティブオプション | 30件 | 45件 | -15件 | -33.3% |
マルチ・マルチまがい | 47件 | 40件 | 7件 | 17.5% |
不明 | 4,198件 | 3,432件 | 766件 | 22.3% |
合計 | 16,638件 | 15,004件 | 1,634件 | 10.9% |
(表4)相談の上位10品目 商品・役務別件数
順位 | 商品・役務名 | 令和6年度 | 令和5年度 | 増減(対前年度増減率) |
---|---|---|---|---|
1 | 商品一般 | 1,317件(7.9%) | 1,079件(7.2%) | 238件(22.1%) |
2 | 役務その他サービス | 919件(5.5%) | 668件(4.5%) | 251件(37.6%) |
3 | 不動産賃借 | 844件(5.1%) | 739件(4.9%) | 105件(14.2%) |
4 | 工事・建築 | 841件(5.1%) | 803件(5.4%) | 38件(4.7%) |
5 | 化粧品 | 672件(4.0%) | 879件(5.9%) | -207件(-23.5%) |
6 | 健康食品 | 571件(3.4%) | 408件(2.7%) | 163件(40.0%) |
7 | 修理サービス | 452件(2.7%) | 429件(2.9%) | 23件(5.4%) |
8 | 医療サービス | 332件(2.0%) | 311件(2.1%) | 21件(6.8%) |
9 | インターネット接続回線 | 321件(1.9%) | 312件(2.1%) | 9件(2.9%) |
10 | 携帯サービス | 280件(1.7%) | 284件(1.9%) | -4件(1.4%) |
その他 |
10,089件(60.6%) |
9,092件(60.6%) |
997件(11.0%) | |
計 | 16,638件(100.0%) | 15,004件(100.0%) | 1,634件(10.9%) |
(表5)年代別上位5品目 商品・役務別件数
順位 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
---|---|---|---|---|---|
17歳以下 | インターネットゲーム 79件 |
化粧品 13件 |
健康食品 9件 |
アダルト情報7件 |
商品一般 |
18歳~29歳 | 不動産賃借 165件 |
医療サービス 120件 |
役務その他サービス 118件 |
エステサービス 103件 |
商品一般 71件 |
30歳代 | 不動産貸借 181件 |
商品一般 80件 |
医療サービス 64件 |
役務その他サービス 64件 |
修理サービス 58件 |
40歳代 | 不動産貸借 146件 |
商品一般 97件 |
化粧品 71件 |
工事・建築 64件 |
修理サービス 60件 |
50歳代 | 商品一般 198件 |
役務その他サービス 139件 |
化粧品 129件 |
不動産貸借 125件 |
健康食品 121件 |
60歳代 | 商品一般 194件 |
化粧品 156件 |
役務その他サービス 133件 |
工事・建築 125件 |
健康食品 121件 |
70歳代 | 商品一般 223件 |
役務その他サービス 169件 |
工事・建築 157件 |
化粧品 149件 |
健康食品 114件 |
80歳以上 | 工事・建築 244件 |
商品一般 155件 |
役務その他サービス 155件 |
給湯システム 96件 |
健康食品 94件 |
【国民生活センターの商品・役務別分類】
商品一般…商品の特定ができない相談や、身に覚えのない架空請求等に関するもの
化粧品…基礎化粧品、化粧石鹸、歯みがき粉、マニキュア、脱毛剤等に関するもの
不動産貸借…賃貸住宅退去時の修繕費等に関するもの
工事・建築…屋根工事・増改築工事・衛生設備工事等に関するもの
役務その他サービス…サービス業のうち「金融・保健」「運輸・通信」「教育」「教養・娯楽」「保健・福祉」「外食・食事宅配」「冠婚葬祭」「家事」等のサービスに該当しない役務に関するもの
【お問合せ先】
経済局消費経済課長 畠山 重徳
横浜市消費生活総合センター長 小川 信也
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