相談データ・分析

平成30年度上半期 消費生活相談概要

2018年12月12日

平成30年度上半期 横浜市消費生活総合センター 消費生活相談概要

  • 相談総件数は11,300件で、前年同時期に比べて334件(3.0%増)増加しました。【表1参照】
  • 契約者年齢でみると、50歳代以下が減少する一方で60歳以上の相談が増加しました。特に70歳代が大幅に増加しており、全年代で最も相談件数が多くなっています。【グラフ2参照】
  • 契約者性別でみると、女性からの相談が6,729件と前年同時期に比べて869件(14.8%増)増加しました。【表2参照】
  • 相談内容では、架空請求はがきなど「商品一般」に関する相談が2,493件で第1位、前年同時期に比べ1,625件(187.2%増)増加しました。第2位はアダルト情報サイトや出会い系サイトなどの「デジタルコンテンツ」、第3位は賃貸住宅退去時の原状回復費用などの「不動産貸借」となっています。【表2・3参照】

 

平成30年度上半期 消費生活相談の特徴

架空請求はがきが急増

 「国の機関を騙って『総合消費料金未納分訴訟最終通告書』とかかれた不審な葉書が届いた」などの架空請求はがきの相談が1,899件(前年同時期416件)と急増しました。契約者の属性でみると、60歳代、70歳代の女性からの相談が圧倒的に多くなっています。
 はがきの連絡先に電話をしてしまうと、国選弁護人を紹介するなどと言われ、10万円程度の費用を請求され、一度支払ってしまうと、さらに示談金など高額な請求が続きます。【グラフ3・4参照】

 

ファンド型投資商品が2.2倍に増加

 「高利の配当金が支払われる農園オーナーに投資しているが、事業者が破産したと報道された。投資した資金を回収するにはどうすればよいか」など事業者の破産に伴う「ファンド型投資商品」に関する相談が159件と多数寄せられ、前年同時期に比べ110件(224.5%増)増加しました。
 契約者の年齢でみると60歳以上で73.6%を占めており、契約者性別でみると女性が78%と多くなっています。
 合計支払金額は4億4,800万円にのぼり、個々の被害額は、100万円~500万円の価格帯が最多となっています。【表3、グラフ5・6・7参照】

 

簡単に高収入が得られるという情報商材の販売が急増

 『プロジェクトに参加するだけで、毎日最低1万円の収入が一生涯得られる』という情報商材を購入したが、実際には収入が得られないので解約したいなどの情報商材の販売に関するトラブルが127件(平成30年度上半期)と平成26年度上半期の12件に比べ10倍以上に増加しています。
 インターネット等で取引されるトラブルが76.4%と大部分を占めています。契約者年齢では、20歳代、50歳代がそれぞれ約25.2%と多く、20歳代から50歳代の現役世代が84.2%を占めています。契約者職業でみると「給与生活者」が半数以上を占めており、増加数では「給与生活者」と「学生」の増加が顕著となっています。
 契約金額の平均は、約40万円でクレジットカードでの支払いが多いことが特徴です。【グラフ8・9・10参照】

 

平成30年度上半期 相談事例

(事例1)架空請求はがき

  昨日、法務省管轄支局を名乗り「消費料金に関する最終告知のお知らせ」というはがきが届いた。裁判の取り下げ最終期日は明後日と迫っていたので、身の覚えはないが電話をした。「このままでは裁判になる。国選弁護人を紹介する」と言われ、弁護士を名乗る人と電話を代わり「10 万円の供託金が必要。伝える番号をコンビニ端末から入れて支払うように」と指示された。コンビニで支払った際に受け取った領収書には、ネットショッピングの事業者名が記載されていた。
 その後、別の弁護士から「他にも未納金がある。高額な示談金が必要」と電話があり、さすがに不審に思いセンターに相談しようと思った。今後どうしたら良いか。(60歳代 女性)

センターの処理

 当該名称の公的機関は実在しないことと、類似の架空請求事例について情報提供し、こちらから連絡せずに無視するべきであったことと、契約の覚えがなければ支払の義務も発生しないことを伝えた。今回は、相手がネット通販で契約した取引代金をコンビニから支払ったことになると説明し、領収書の発行元であるサイト運営事業者に事情を伝え相談するよう勧めた。後刻、相談者から「サイト運営業者に電話をしたら、警察に被害届を出し、受理番号を知らせるようにと言われた。警察へ被害届を出して受理番号をサイト運営業者に伝えたところ、返金対応を行うと言われた」と連絡があった。返金を確認し相談を終了した。

 

(事例2)ファンド型投資【食品オーナー契約の出資】

 高利の配当金が支払われる食品オーナーに複数出資している。1 口50万円を出資すれば半年後に配当金を上乗せして元本が返金される仕組みで、昨年途中までは順調に返金されていた。年末にシステム変更で償還が遅れているという説明があり、信用して待っていたが、今日、事業者が破産したと報道された。投資した資金を回収するにはどうすればよいか。(70歳代 女性)

センターの処理

 事業者はすでに破産手続きを開始し、破産管財人も決定している。個別に返金交渉を行うのは難しいと伝えた。今後、破産管財人から債権者届が送付され、書類を返送することによって債権者として登録される。返金手続きは一連の手続きに従って進むしかないことを伝えた。

 

(事例3)情報商材【投資情報商材のインターネット通販】

 「金と銀のプロジェクトに参加するだけで、毎日最低1万円の収入が一生涯得られる」という情報商材30万円をクレジットカードのリボ払いで支払った。金と銀の価格差を利用し完全自動システムで運用すれば誰でも儲かると宣伝していたが、実際始めてみたら、海外のトレーダーが手動でFX取引をする事が判った。話が違うので解約してほしい。(40歳代 男性)

センターの処理

 相談者には問題となる広告や事業者とのメールのやり取りなどの経緯をまとめた解約申出書を、販売事業者と決済代行業者へ送付し、カード会社には支払停止の抗弁書に解約申出書の控えを添えて送付するよう助言した。センターから関係先に連絡し、販売事業者には根拠なく高収入を謳う商法の問題点について伝え解約検討を求めた。当初、販売事業者からは7割返金の回答があったが、相談者が納得せず、センターから再考を求めたところ全額返金すると返事があった。
 その後、販売事業者と当事者が合意書を交わし、返金を確認し相談を終了した。

 

消費生活相談概要

平成30年度(平成30年4月1日~平成30年9月30日)

利用上の注意
 各表における区分毎の各割合(%)の数値は、小数点第2位で四捨五入しています。
このため、区分毎の割合の合計は100%にならない場合があります。

 

相談受付件数 (表1)

区分平成30年度 上半期平成29年度 上半期増減【対前年度増減率】
苦情相談 10,736件(95.0%) 10,299件(93.9%) 437件(4.2%)
問合せ 564件(5.0%) 667件(6.1%) -103件(-15.4%)
11,300件(100.0%) 10,966件(100.0%) 334件(3.0%)

 

上半期相談件数の推移(グラフ1)

 H26年上半期12320件、H27年12220件、H28年11862件、H29年10966件、H30年11300件

 

契約者年代別相談件数(グラフ2)

 未成年者H29年度上半期223件 H30年度kamihanki 
171件、20歳代917件 767件、30歳代1297件 1002件、40歳代1896件 1610件、50歳代 1826件 1755件、60歳代1723件 2036件、70歳代1443件 2098件、80歳代846件 1024件、年代不明795件 837件

 

契約者性別等件数(表2)

区分平成30年度 上半期平成29年度 上半期増減【対前年度増減率】
女性 6,729件(59.5%) 5,860件(53.4%) 869件(14.8%)
男性 4,074件(36.1%) 4,588件(41.8%) -514件(-11.2%)
団体 267件(2.4%) 327件(3.0%) -60件(-18.3%)
不明 230件(2.0%) 191件(1.7%) 39件(20.4%)
11,300件(100.0%) 10,966件(100.0%) 334件(3.0%)

 

相談の上位10品目  商品・役務別件数(表3)

順位商品・役務名平成30年度 上半期平成29年度 上半期増減【対前年度増減率】
1 商品一般 2,493件(22.1%)

868件(7.9%)

1,625件(187.2%)
2 デジタルコンテンツ 1,368件(12.1%) 1,766件(16.1%) -398件(-22.5%)
3 不動産貸借 434件(3.8%) 509件(4.6%) -75件(-14.7%)
4 工事・建築 407件(3.6%) 475件(4.3%) -68件(-14.3%)
5 インターネット接続回線 321件(2.8%) 369件(3.4%) -48件(-13.0%) 
6 健康食品 281件(2.5%) 291件(2.7%) -10件(-3.4%)
7 携帯電話サービス 234件(2.1%) 271件(2.5%) -37件(-13.7%) 
8 役務その他サービス 208件(1.8%) 228件(2.1%) -20件(-8.8%) 
9 ファンド型投資商品 159件(1.4%) 49件(0.4%)  110件(224.5%) 
10 修理サービス 150件(1.3%) 120件(1.1%)  30件(25.0%)
その他 5,245件(46.4%)  6,020件(54.9%) -775件(-12.9%) 
11,300件(100.0%) 10,966件(100.0%) 334件(3.0%)
【国民生活センターの商品・役務別分類】
商品一般・・・商品の特定が出来ない/身に覚えのない架空請求等に関するもの
デジタルコンテンツ・・・インターネットを通じて得られる情報で、アダルト情報サイト・出会い系サイト等の不当請求に関するもの
不動産貸借・・・賃貸住宅退去時の修繕費等に関するもの
工事・建築・・・屋根工事・増改築工事・衛生設備工事等に関するもの
インターネット接続回線・・・プロバイダやインターネット回線の料金やサービスの内容に関するもの
携帯電話サービス・・・携帯電話サービス等への加入・利用に関するもの
役務その他サービス・・・サービス業のうち「金融・保険」「運輸・通信」「教育」「教養・娯楽」「保健・福祉」「外食・食事宅配」「冠婚葬祭」「家事」などのサービスに該当しない役務に関するもの。ESTA申請代行等。

 

年代別上位5品目  商品・役務別件数(表4)

順位12345
未成年者 デジタルコンテンツ
60件
健康食品
15件

基礎化粧品
7件

 

商品一般
6件

・運動靴
・エステサービス
5件
20歳代 デジタルコンテンツ
130件
不動産貸借
66件
エステサービス
44件
商品一般
34件
携帯電話サービス
19件
30歳代 デジタルコンテンツ
149件
不動産貸借
104件
商品一般
34件
インターネット接続回線
32件
役務その他サービス
22件
40歳代 デジタルコンテンツ
239件
不動産貸借
99件
商品一般
74件
インターネット接続回線
53件

・健康食品
・携帯電話サービス
46件

50歳代 デジタルコンテンツ
297件
商品一般
260件
健康食品
71件
工事・建築
59件
インターネット接続回線
55件
60歳代 商品一般
854件
デジタルコンテンツ
218件
工事・建築
68件
健康食品
53件
インターネット接続回線
53件
70歳代 商品一般
879件
デジタルコンテンツ
191件
工事・建築
84件
インターネット接続回線
59件
ファンド型投資商品
55件
80歳以上 商品一般
221件
工事・建築
80件
デジタルコンテンツ
54件
インターネット接続回線
29件
ファンド型投資商品
28件

 

架空請求はがき

件数推移(グラフ3)

 H28年度16件、H29上半期416件、H29下半期1127件、H30年上半期1899件

 

契約者年代・契約者性別ごとの内訳(グラフ4)

 40歳代男性2人 女性8人、50歳代4人 167人、60歳代22人 707人、70歳代28人 718人、80歳代7人 165人

 

ファンド型投資商品

件数推移(グラフ5)

 H29上半期49件 H30上半期159件

 

契約者年代ごとの内訳(グラフ6)

 20歳代4件2.5%、30歳代6件 3.8%、40歳代11件 6.9%、50歳代15件 9.4%、60歳代34件 21.4%、70歳代55件 34.6%、80歳以上28件 17.6%、不明等6件 3.8%

 

契約者性別ごとの内訳(グラフ7)

 男性34件 21.4%、女性124件 78.0%、不明等1件 0.6%

 

情報商材

件数推移(グラフ8)

 H26上半期 インターネット通販7件、その他5件 計12件、H27上半期22件 5件 計27件、H28上半期28件 5件 計33件、H29上半期72件 22件 計94件、H30上半期97件 30件 計127件

 

契約者年代ごとの内訳(グラフ9)

 未成年者4件 3.1%、20歳代32件 25.2%、30歳代19件 15/.0%、40歳代24件 18.9%、50歳代32件 25.2%、60歳代8件 6.3%、70歳代7件 5.5%、不明1件 0.8%

 

契約者職業ごとの内訳(グラフ10)

 給与生活者H29上半期37件 H30上半期71件、自衛・自由15件 7件、家事従事者11件 13件、学生6件 16件、無職19件 18件、不明6件 2件

※申出情報の一部に「情報商材」という言葉が含まれる相談。情報商材に関する
相談や、情報商材に関連して契約した商品・役務に関する相談等が含まれる。

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